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再聴:トスカニーニの第9(1938) [古典音楽]

 今回、久々に第9を集中して聴いてみたが、実はここまで取り上げた10枚どころの騒ぎではなく、とんでもない数の第9を自分が持っている(フルトヴェングラー、クレンペラー等々、朝比奈先生の例のように同一指揮者で複数枚持っているものもあるし・・・朝比奈先生はまだあるけど)ことに気づいた。一時期ベートーヴェンばかり聴いていたことがあったので、エロイカやパストラールが多くあるのは承知していたが、コーラルがこんなにあるとは思っていなかった。

 ここまで聞き直してみて一番の収穫は、改めてトスカニーニの偉大さを実感できたこと。ここで、もう一回、トスカニーニの1938年版を聴いてみた。

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱つき」@トスカニーニ/NBCso. ニューヨーク・スコラ・カンム ボビー(S)ピアース(T)他

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱つき」@トスカニーニ/NBCso. ニューヨーク・スコラ・カンム ボビー(S)ピアース(T)他

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: キングレコード株式会社
  • 発売日: 1992/12/24
  • メディア: CD


 最近録音されたものを聴いた後に改めてこのCDを聴くと、音の広がりの無さや録音のキズのひどさ(このCDはノイズや歪みといった録音のキズが結構ある。そのために再販されないのかもしれない)などを感じる部分があるが、それらを超えて訴えかけてくるものがある。楽譜(ベートーベン)の持っている力と、トスカニーニの表現とが見事に結実しているのだろう。

 朝比奈先生の時に書いたが、このCDのように古い音源は、何を言っているか聞き取りにくいことは事実だ。しかし、管弦楽作品としてきてみると(もともとCDに録音された音であの大合唱を聴こう、ということが間違っている)、トスカニーニ版は素晴らしい。前にも書いたが、第4楽章に向けた音楽の盛り上げ方は一番だし、とかく合唱部分に目がいってしまいがちな第4楽章の管弦楽部分も最高だ。

 第4楽章の管弦楽部分、というとバリトン独唱の”O Freunde, nicht diese Töne!”が歌われる前の、それまでの3楽章のテーマを否定し、歓喜のテーマが展開される部分が一番わかりやすいが、個人的には Allegro assai vivace,Alla marcia (バリトン独唱の”O Freunde, nicht diese Töne!”に引き続き、ひとしきり合唱が歌われた後に音楽が切れて、管楽器から演奏が始まる部分)で歓喜の歌の大合唱が始まる前に展開される管弦楽部分がもっとも好きだ。ここは気が抜けやすいのか、結構アッサリと演奏されることが多いが、その点、このトスカニーニ版は100%満足させてくれた。

 そしてPrestissimo。この最終部分、トスカニーニはフルトヴェングラーばりに荒れ狂うような超ハイテンポ(朝比奈先生の一部CDではみられた。聴いていないが^^;ミュンシュもそうだろう)にすることなく、堂々と演奏を締めくくっている。立派だ。


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第9短評-10 朝比奈隆(1997) [古典音楽]

 10こめも、朝比奈先生。

ベートーヴェン:交響曲全集

ベートーヴェン:交響曲全集

  • アーティスト: 大阪フィルハーモニー交響楽団, 大阪フィルハーモニー合唱団, 岡坊久美子, 竹本節子, 田中勉, 林誠, 朝比奈隆, 岩城拓也, ベートーヴェン
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 1997/12/17
  • メディア: CD


 
 朝比奈先生としては、6回目のベートーヴェンの全集。この全集は、1997年7月に録音されたそうだ。年末恒例の第9演奏会ではない。

 かなりのスローテンポ。個人的には・・・・特に1991年版を聴いた後では・・・・集中力が途切れがちになる。早い演奏の方がよい、というわけではないが、ちょっとゆっくりすぎるかな。スコアを見ながら聞くには良いかもしれない。

 さらに興ざめなのが、演奏直後の叫び。録音されるために叫んでるんじゃないの?というくらい。はっきり言って、じゃま。年を追うごとにひどくなる。ほんとに止めてほしい(怒)


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第9短評-09 朝比奈隆(1991) [古典音楽]

 9つめも、朝比奈先生。

ベートーヴェン:交響曲全集

ベートーヴェン:交響曲全集

  • アーティスト: 大阪フィルハーモニー交響楽団, 大阪フィルハーモニー合唱団, 朝比奈隆, 井岡潤子, 井原直子, 大野徹也, 岩城拓也, ベートーヴェン
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 1992/12/02
  • メディア: CD

 
 朝比奈先生としては、5回目のベートーヴェンの全集。この全集は、かなりセッションを重ねて録音されたそうだが、第9はライブではないだろうか。1991年の録音。

 朝比奈先生の他の第9と比べると、かなり印象が異なるが、僕にとっては(他の朝比奈先生の第9短評を書く前に気がひけるが)朝比奈先生のベスト第9。第9の中でも、僕としては上位に置きたい。とかくブルックナー的にゆっくりと演奏されがちな朝比奈先生の第9だが、このCDではかなりテンポが速い。学研版に近いが、さらに味わい深くなっており一度聞き始めると途中で止めたくなくなる、集中度の高いCDだと思う。

 全ての楽章が素晴らしいが、嬉しいのは第4楽章が素晴らしく録音されていることだ。とかく古い録音だと、合唱部は何を言っているのか分からなくなってしまうし(そこまで求めるのは酷というものだが)、新しい録音でも録音の具合によって妙に遠く(小さく)なっていることがあったりするが、このCDはそうなっていない。

 このCDは分売もされているようなので、是非一度聞いていただきたい。

ベートーヴェン:交響曲第9番

ベートーヴェン:交響曲第9番

  • アーティスト: 大阪フィルハーモニー交響楽団, 朝比奈隆, ベートーヴェン
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 1993/12/17
  • メディア: CD


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第9短評-08 朝比奈隆(1977) [古典音楽]

 8つめも、朝比奈先生。

ベートーヴェン:交響曲全集

ベートーヴェン:交響曲全集

  • アーティスト: 大阪フィルハーモニー交響楽団, 朝比奈隆, ベートーヴェン
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 1993/12/16
  • メディア: CD

 
 朝比奈先生としては、2回目のベートーヴェンの全集。いわゆる「70年代の朝比奈」を代表する名盤のうちの1つだ。1977年の録音。

 安心できる、いわゆる朝比奈先生の音だ。もう、永遠に戻ってこないであろうが・・・・良くも悪くも、朝比奈先生の音。こういう言い方は贅沢であるのだけれど・・・・朝比奈先生のほかの録音に比べると、面白みはあまりない。僕にとっては、コンヴィチュニー版を聴いていたときに感じるような、ある種の安心感を感じる録音だ。

 この録音もライブだが、1回目と違い、フィナーレはかなりハイテンポで狂い気味。演奏後の観客の一部が叫んでいるのが録音されているが、これくらいならまだ許せる。


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第9短評-07 朝比奈隆(1972) [古典音楽]

 7つめは、朝比奈隆。

 朝比奈先生は、全部で確か6つベートーヴェンの全集を出されているはずだ。以前にも書いたが、僕が初めて買ったベートーヴェンの交響曲全集も、朝比奈先生のだ。フォンテックから発売されていた、新日本フィルとの全集。(訳あって売ってしまったため、手元にないが) 今とは違い、当時、朝比奈先生のCDはなかなか売っていなかった。

 今手元にあるのは、5枚。古い順に聴いてみる。

 このCDは、1回目の全集だ。学研版。第9だけはライブ。それ以外は、スタジオ録音。実は、前出の新日本フィルの全集と同じ頃に、輸入CDのトコロに売っていた。

 当時、朝比奈先生は既に60代前半(僕は0歳だったけど)である。後期とは違い、テンポも比較的速い。個人的には結構好き。ただ、録音の加減かもしれないが、弦も管も、何となく軽く聞こえるのが残念。でも、やはり朝比奈先生の響きだ。


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第9短評-06 トスカニーニ(1939) [古典音楽]

 6つめは、再びトスカニーニ。

 たぶん、国内では売ってないだろうなぁ。

 疑似ステレオになっているので、特に弦楽器系はとても聞きやすくなっているが、第4楽章の合唱部分はグァングァンしちゃって、とても聞けたモンじゃない。

 1938年版もそうだが、トスカニーニの第9は他の人と比較して、第4楽章へ向けた盛り上がり方が大分違う。指揮者によっては、第9は第1楽章がもっともよく思える場合があるが、トスカニーニは確実に第4楽章が最高。素晴らしい。


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第9短評-05 コンヴィチュニー [古典音楽]

 5つめは、コンヴィチュニー。

 僕がもっているのは、もう10年以上前に買った、ベルリンクラシックス版(ベートーヴェン全集)。結構安かったと記憶している。

 コンヴィチュニーのベートーヴェンは、いつ聞いても安心できる。人にベートーヴェンを薦めるなら、まず第一に考えたい演奏だ。個人的には、バックハウスに通じるものがあると思っている。まずこの演奏を聴いてもらって、ムラヴィンスキーや朝比奈や他の人の演奏を聴いてみてほしい。こんなに違うのか、という驚きがあるはずだ。

 第9も安心できる演奏だ。スタンダードでありながら、聴き応え充分。すべての楽章が素晴らしく、特に第4楽章の合唱部分はとても美しく録音されている。


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第9短評-04 シューリヒト  [古典音楽]

 4つめは、シューリヒト。

ベートーヴェン:交響曲第9番

ベートーヴェン:交響曲第9番

  • アーティスト: リップ(ウィルマ), エリザベート・ブラッスール合唱団, フリック(ゴットロープ), ヘフゲン(マルガ), ディッキー(マーレイ), パリ音楽院管弦楽団, シューリヒト(カール), ベートーヴェン
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1998/12/09
  • メディア: CD

 CDを聞き始めたとたん、最近の録音かと思えるくらいはっきりしたステレオ感。悪くいえば音が入りすぎといえるかもしれないが・・・・斜め前から弦の音がするのが明確にわかる。
 第1楽章は名演といえるかもしれないが・・・第2,第3楽章は僕にとってはNG。何をそんなに急いで演奏しているのか、というカンジ。

 フランス(パリ管)じゃなく、ドイツ(たとえばウィーンフィル)だったら、また違う演奏になったんだろうなぁ、と夢想してしまう。


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第9短評-03 モントゥー [古典音楽]

 3つめは、モントゥー。

ベートーヴェン:交響曲第9番

ベートーヴェン:交響曲第9番

  • アーティスト: ロンドン交響楽団, ロンドン・バッハ合唱団, ゼーダーシュトレーム(エリザベート), レズニック(レジーナ), ウォード(デヴィッド), ビッカース(ジョン), モントゥー(ピエール), ベートーヴェン
  • 出版社/メーカー: MCAビクター
  • 発売日: 1997/07/24
  • メディア: CD


 僕が持っているのは、上のCDではなく、同じ2枚組でもロジンスキーの「運命」がセットになった輸入盤CD。

 最近はユニバーサルでモントゥーの「ベートーヴェン交響曲全集」がでているが、これは、LONDON(DECCA)版の1番~8番と、MCA(ビクター)のこの第9とを組み合わせたもののはずだ。

 ん~、ロンドン響の響きは微妙だなぁ。悪くはないんだけど、ほかの演奏を聴いてしまうと今ひとつ、といったところか。ちょっと特徴がないカンジ。第9に限らず、モントゥー/ロンドン響のベートーヴェンは、僕にとってはいまいち。ウィーンフィルや北ドイツ放送響、アムステルダム・コンセルトヘボウのベートーヴェンは、相当いいんだけど。不思議だ。


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第9短評-02 ミュンシュ [古典音楽]

 2つめは、ミュンシュ。

ベートーヴェン:交響曲第9番

ベートーヴェン:交響曲第9番

  • アーティスト: ボストン交響楽団 ミュンシュ(シャルル), プライス(レオンタイン), フォレスター(モーリーン), ポレリ(デイヴィッド), トッツィ(ジョルジョ), ニュー・イングランド音楽院合唱団, ボストン交響楽団, ミュンシュ(シャルル), ベートーヴェン
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2006/12/20
  • メディア: CD

 僕が持っているのは、上のCDではなく、2枚組の、「英雄」「運命」「合唱付き」がセットになったCD。

 前のトスカニーニほどではないが、ミュンシュも久々。だが・・・・第3楽章の途中で聞くのをやめてしまった。トスカニーニの印象が残っている状態で聞いたのが悪かったのかもしれないが・・・・悪くいえば、かなり脳天気に聞こえた。

 ミュンシュの常として、明るいベートーヴェンだ。テンポはかなり速い。こういうベートーヴェンもたまにはいいが、明るく早い音楽がいつも以上に軽く聞こえたのは、きっとトスカニーニの印象が残っていたせいだと思う。

 そんなに悪い印象は持っていなかったのだが・・・・比べてしまうと、ちょっと残念。

※ 僕は評論家ではなく1クラシックファンですので、すべて主観で書いています。お気を悪くされた方がおられるかもしれませんが、あしからずお許しください。


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